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Re島めし 屋久島編 第3話

2017.06.16 (FRI) 屋久島 Re島めし

トビウオ!トビウオ!トビウオ!

Re島の中で最後にやってきた屋久島。五島に行っても、対馬に行っても、壱岐に行っても、食材の話になると必ず「屋久島はトビウオだよ」「屋久島はとにかくトビウオ」と聞かされてきた。そもそもトビウオって食材になるの?子どもの絵本ぐらいでしか見かけないけど?屋久島に来る前は「みんな大げさだな」ぐらいに思っていたけど、来てみて納得。東京ではほぼ見かけないトビウオ料理が、屋久島ではお店のメインをはっている。これは珍しくって、外から来た人はそりゃあ頼むよなあ。

屋久島最後の晩餐は、屋久島らしく、トビウオ料理を堪能しておかなければ。と、その前に、トビウオを専門で扱う漁師さんであり、トビウオ料理屋「安永丸」のオーナーでもある箕作(きさく)さんにお話を伺った。

「たしかにトビウオの生産量は日本一ですね。トビウオ専門で営んでいる漁師は多分屋久島にしかいないですよ。よそじゃ、トビウオが獲れたって言っても、定置網にたまたま入ってた、ぐらいなんじゃないかな。定置網の方にしたら、雑魚みたいなかんじですよ。」

波の上を200メートルぐらい飛ぶことができるトビウオ。漁の方法も、他の魚となにか違うんでしょうか?ピョーンと跳んだところをバシッと捕まえたり!?そんなわけないかあ。

「それは効率が悪すぎるでしょうね(笑)これは自分たちの方法になりますけど、網とロープでできた1.5キロぐらいある道具を、2船が1組になってひっぱります。丸い円を描くようにトビウオを囲って、もう外に出られないぐらい小さい円になったところを、網ですくったり、巻き上げたりして、獲ります。」

昨日食べたトビウオのお刺身、めちゃくちゃ美味しかった。今が旬なのかな?「屋久島はトビウオ」でも、獲れない時期もあるんでしょうか?

「トビウオは、種類を変えながら一年中獲れますよ。この辺だけでも10種類くらいいて、例えば水温の低い時期は、大トビ。夏の水温の高い時はガタンコ。ガタンコってのは、ここらの方言ですね。ガタンコはさらに、アゴとセミ、2種類に分けられます。あとは、中トビ、アオバネ……。」

1年中食べられるってことは、食べ方を工夫しないと飽きちゃいそう。屋久島ではどんな食べ方をするんでしょうか。

「定番は、塩焼きや、つき揚げかな。つき揚げっていうのは、鹿児島でいうさつま揚げ。 さつま揚げにはいろんな魚が使われるけど、つき揚げはトビウオだけを100%使って作ります。うちでやってるのは、漬け焼き、梅しそ巻き、カマの唐揚げ、漬け丼。漬け丼には屋久とろっていう屋久島のとろろをトッピングしてもうまいですね。おすすめはトビウオのたたきかな。白子ポン酢も今の時期にしか獲れないので是非。」

「屋久島はトビウオがウリっていうのもあって、どこへ行っても、つき揚げや塩焼きは食べられるんですよ。自分たちは店を始めて間もないし、せっかくトビウオ専門の漁業者なので、よそにはないものを作りたくていろんなメニューを考えました。特に首折れの刺身なんてのは、自分が沖に行ってやらないとできない。船の上でまだピチピチしてるときに、首のとこをポキっと折ってやることで、鮮度を保てるので。」

メニュー開発にも携わる箕作さんは、ご両親をついで漁師になられて15年。お店を始めたのは2年前だそうで、店名の「安永丸」は、箕作さんが乗っている船の名前だと言う。

「私の父親が、土地の一角をあげるから好きなように使えっちゅうことだったんで、家内と、なんかいい使い道ないかね、と相談して。トビウオは生産漁業だけじゃ先行きが不安、いつまでも資源があるのかな、っていうのもあってね。水産加工品として付加価値をつけて、なるべくなら島外の新しいお客さんに売っていきたいなあ、と。」

「そのうち、やっぱりお客さんに食べさせながらやった方が力強いんじゃないだろうかっちゅうことで、食べるスペースを作ろう、なんなら酒も飲ませようって言ってるうちに、店がどんどん大きくなって。看板はどうするとか、小洒落た感じにしようとか、どんどん夢が膨らんでます(笑)漁に出ながらだから、なかなか進まないけどね。」

冷凍で加工品をキープしてあるとはいえ、漁に出てトビウオをとってこないとお店を支えられない。プレッシャーもなかなかだろうなあと思う。しかも、行けば必ず大漁ってわけでもないだろうし……。

「そうですね、隣で15箱獲れてるのに、自分は10箱しかないってなるとね、なかなか辛いかな。魚釣りって、仕掛けと技術で大分差がつくから、そういうのをしっかり勉強するのも大事なんだけど。これなら間違いないと思って確信めいても、相手は自然だから、うまくいかないときもある。釣りの上手な人は、その自然の気まぐれを見極められるぐらいの経験がある人だと思います。人の真似しようと思っても、出来ないのよね。やっぱり経験だから。」

身にしみるお言葉です……。相手を見極めて、経験値で判断する。これは料理でも大事なことだと思う。良い食材を見分けて、どうすれば美味しさを引き出してやれるか判断する。Re島めしの旅で出会ったあらゆるプロフェッショナルが共通して大事にしていたことだ。

青魚ではあるけど脂質が少なく、白身魚ほど淡白でもない。トビウオだけでこんなに品数できます!?と、驚くほどのメニュー数で、安永丸での晩御飯は新しい発見がいっぱいあった。そして、屋久島といえばもうひとつ。芋焼酎の三岳ですよ皆さん!!!今まで何杯もの三岳ロックを飲んできたけど、ここが三岳の地元かと思うと、なんだか胸がいっぱい、もっと深く三岳とわかり合えた気がした……。ちなみに、店主箕作さんのオススメは、白ワインだったけど(笑)どんな酒にも合うトビウオのおかげで、Re島めし最後の宴は盛り上がりました!

 

たんかんって、かんたんじゃない。

屋久島最後の取材は、たんかんの加工場。たんかんもまた、トビウオと同じであまり馴染みがなかった。前日に寄ったおみやげやさんで、子どもたちがたんかんをいただいた。ちょっと大きめのみかんぐらいのサイズなんだけど、みかんと違うのは、「皮かたいからママむいて〜」とパスされるぐらいの硬さ。

「たしかにちょっと硬いです。なので、お湯につけてやわらかくしてから加工します。そうするとツルッと皮がむけるんです。皮むいてみますか?」

加工作業の責任者の方が、ひとつ皮をむかせてくれた。ついでに、ちゃっかりと試食。柑橘類をあったかくして食べるのは初めてだ。美味しかったけど、冷たい方が美味しいな(笑)しかし、おばちゃんたちのたんかんさばきの早いこと!

「たんかんには、日が当たった所と当たらなかった所があって、日が当たったところが日焼けして黄色くなります。赤と黄色が混じってる、これが美味しい本来の味。全部真っ赤になってるのは、鳥類被害のための特殊な袋をかけたもの。これで……糖度が非常に高めだと思うので、農協さんに出す規格のなかでも、Aクラス。」

「皮を剥いたら、これで絞ります。ちょっと年代物です。絞って、甘皮なんかをこしていきます。こした甘皮は破棄ですが、皮は加工品なんかにも使われますね。」

「機械ではこしきれなかったところを取り除くために、次は釜で煮ます。煮込むことで、アクも出ますし、こしきれなかった繊維なんかも出てきます。ある程度はとりますが、ちゃんとしたフィルターでこしきっちゃうと、それはそれで味が落ちるんです。皮とか繊維にも味があるみたいで、そこが美味しいんですよ。」

それから缶に詰めて、だいたい80度ぐらいで20分以上煮沸させて、殺菌。ラベルを貼れる程度に冷まして、シールを貼ったり点検したりして、第一段階、たんかんジュースの完成。これをいろんな商品に加工していく。

工場を見た後、事務所でたんかんジュースをいただきながら(超おいしかった)、お話を聞いた。見学をしてみた雑感として「結構手作業が多いんですね」と聞いたら、

「ここは決まった業者の工場というわけではなく、町の施設なんです。一般の団体から借りたいという申し出があれば提供していて。今日作業していたのはたんかん農家さんたちなんですね。自分たちで飲むためのジュース作りだったので、手作業が多かったかもしれないです。」

と、教えてくれた。誰でも使えるようになってるなんて、たんかんはこの地域の人たちにとってよっぽど身近なんだなあ。でも、誰にでも施設を開放している理由はそればかりではないようで……。

「ここらの場合はほとんど段々畑でたんかんを作っています。みなさん、なかなか難儀なようで。高齢化が進むにつれて、放棄農園も増えているんです。そういうこともあって、集落の何人かで、たんかん農業を守ろうという団体を作りました。その団体がここの施設管理をしています。誰かが日常的に使わないと施設はだめになるっちゅうことで、私どもの会社が使わせてもらってる、っちゅう感じです。」

大迫さんの会社で使うたんかんは、市場で販売するには見栄えが劣るようなもの。ちょっとしたキズがあるとか、色の付きが悪いとか、大きすぎる小さすぎるといった理由で市場には出せなかったものを加工している。味は同じだもんね。もったいないもんね。

「2月中旬から収穫が始まって、収穫直後は大忙しですよ。とにかくみんなジュースにしちゃって、一斗缶で置いておくんです。それを次々加工に使っていく、という流れですね。今年は大豊作だったので、もう、お手上げ状態!生産が追いつきませんよ。」

工場の外には、カゴにたんかんが満タン、さらにそのカゴがいくつも積み重ねられていた。これじゃ泥棒し放題だけどいいのかな……と思ったんだけど、そういうわけだったのか!そういえば、さっき工場を見学したとき、むいた皮は加工に使われるって聞いたけど、Re島めしに使えそうな美味しいヒント、ありますか!?

「皮はオレンジピールみたいな感じで、チョコをまぶしたりとか。私どもで、たんかんのごみを出さないというのを目標に2年前ぐらいから皮も加工するようにしたんですが、乾燥させるのがなかなか難しいんですよ。全ての皮を使うまでにはなかなか至りませんね〜。」

「あとは、ゼリーや、寒天、パウダー状にして練りこんだ煎餅もあるし、ドレッシングもありますよ。まあ、産地なんだから何か特別なメニューがあってもいいと思うんだけど、たんかんに限っては、屋久島でもお料理に使うっていうのは聞かないですね。ゆずやかぼすみたいにポン酢にするにしても、結構甘みが強いのでね。合うかどうか……。何かアイデアありましたら、是非お知恵を借りて、私どもも新しい商品を……。」

我々のアイデアは、会社の運命を握っているかもしれませんよレミさん!!(笑)それはそうとして、料理での出番が少ないなら、是非わたしたちのレシピでたんかんの活かし方を見つけてあげたいなあ。屋久島のみなさんが、たんかんの時期を待ちわびちゃうような、素敵なレシピが作れると良いんだけど。

 

いつかきっとわかる、心に宿した何か。

飛行機まで少し時間があったので、「自然のプール」と呼ばれているサンゴの浜辺に寄り道。さすがにじゃぶじゃぶ入って遊ぶには気温が足りなかったけど、岩に隠れていた小さい生き物を見つけたり、「恐竜のあたま!」「iPhone!」「ちくわの天ぷら!」と、いろんな形に見えるサンゴを探したり、子どもたちはあちこち走り回ってたのしそうだった。こどもたちの柔軟な発想に比べて、わたしはどのサンゴを見ても「箸置きに出来そうだな…」としか思えなかった。

浜で遊んでいると、「おねえさん平野レミさんとこのお嫁さんとちゃうん」と、陽気なご夫婦に声をかけられた。「ここは暇やねん〜。それが良くておるんやけど。今からうち来おへん?」とお誘いいただいた(笑)めっちゃ行きたいけど、そろそろ飛行機の時間ですねん。「また来てや〜」と、記念撮影。まさかこんなRe島のはじっこで、わたしのことを知ってくれている人に会えるなんて!またすこし、Re島が近くなった気がした。

いつの間にか飛行機に慣れて、勝手に乗り込む子どもたち。に、置いていかれるわたし。今回の旅行では、ずいぶん子どもたちをほったらかしてた気がする。ほったらかしてても、すぐ近くにある自然に誘われて、何か遊びを見つけてくれていた。モスオーシャンハウスの今村さんが話してくれた「自然を宿す」という経験が、少しでもこの子たちの中に残るといいなあ。いつかまた屋久島に導かれるような人に育ってほしいなあ。子守り時間が長かったパパにはちょっぴり申し訳ないけど、いっしょに連れて行くことができて、本当によかったです。

次回はいよいよ、Re島めし最後のレシピ編。今までの全てを詰め込んだ集大成をお届けしたいと思います!って、ハードルあげちゃって大丈夫かな……。レミさん、よろしくお願いします!

 

Re島めし とは。

島の食材に、いつもと違う視点をかけ算してみたら、何が生まれるだろう?
島の食材・食文化を再発見し、「こんなふうに食べてみたらどう!?」をつくるプロジェクト。それが「Re島めし」。
島を旅し、こんなのどう!?をつくってくれるのは、
料理界のにぎやかアイディア一家、平野レミさんと義娘の和田明日香さん。
島のユニークな食材に、人との出会いというスパイスをふんだんにふりかけて。
さあ、どんなあたらしい料理が生まれるのか。

五島列島から、対馬、そして壱岐へ。
同じ離島と言えど、風土や文化が違えば、こんなに食も変わるんだ!
それぞれの島の魅力に出会いつづけたRe島めしの旅は、
いよいよ最後の目的地、屋久島へ。

食育インストラクター。3児の母。各メディアでのレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての他、情報番組コメンテーター、コラム執筆など、多方面で活動中。著書に「嫁姑ごはん物語」「和田明日香のコストコごはん」など。
和田明日香オフィシャルブログ
公式インスタグラム @askawada
 
料理愛好家(もともとはシャンソン歌手)。“シェフ料理”ではなく“シュフ料理”をモットーに、 テレビ、雑誌で数々のアイデア料理を発信。人間ドックで「5年間来なくていいです」と言われた健康体を武器に、 講演会やエッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案。また、特産物を使った料理で全国の村おこしにも参加。 著書は30冊以上に及ぶ。
オフィシャルサイト REMY

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