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Re島めし 屋久島編 第1話

2017.05.31 (WED) 屋久島 Re島めし

Re島めし とは。

島の食材に、いつもと違う視点をかけ算してみたら、何が生まれるだろう?
島の食材・食文化を再発見し、「こんなふうに食べてみたらどう!?」をつくるプロジェクト。それが「Re島めし」。
島を旅し、こんなのどう!?をつくってくれるのは、
料理界のにぎやかアイディア一家、平野レミさんと義娘の和田明日香さん。
島のユニークな食材に、人との出会いというスパイスをふんだんにふりかけて。
さあ、どんなあたらしい料理が生まれるのか。

五島列島から、対馬、そして壱岐へ。
同じ離島と言えど、風土や文化が違えば、こんなに食も変わるんだ!
それぞれの島の魅力に出会いつづけたRe島めしの旅は、
いよいよ最後の目的地、屋久島へ。

食育インストラクター。3児の母。各メディアでのレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての他、情報番組コメンテーター、コラム執筆など、多方面で活動中。著書に「嫁姑ごはん物語」「和田明日香のコストコごはん」など。
和田明日香オフィシャルブログ
公式インスタグラム @askawada
 
料理愛好家(もともとはシャンソン歌手)。“シェフ料理”ではなく“シュフ料理”をモットーに、 テレビ、雑誌で数々のアイデア料理を発信。人間ドックで「5年間来なくていいです」と言われた健康体を武器に、 講演会やエッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案。また、特産物を使った料理で全国の村おこしにも参加。 著書は30冊以上に及ぶ。
オフィシャルサイト REMY

屋久島にやってきた。

今回は、はじめて、家族もつれてきた。最後だから、このプロジェクトの締めくくりだから、ママのやってることを、子どもたちにも見てもらいたくて。

島に向かう気持ちは、今までと全然、ぜ〜んぜん、違った。もちろん、心配がいちばん。子どもたちも一緒で、しっかり取材できるかな。行く先々で、ご迷惑おかけしないかな。いつもは、家事や子育てからのエスケープ!的な感じもありながらのRe島めし旅行だったので、ちょっとした解放感もあったけど、今回はそうもいかない。それでも、これが最後。しっかりRe島を味わい尽くさねば!

 

空港近くのレンタカーやさんで、屋久島の地図を見せてもらい、軽く説明をうける。島をぐるりと囲むように道路が走り、基本的にはこの1本の道を行ったり来たり。ただし、西部林道と呼ばれる場所だけはとても特別で、自然遺産に指定されている地域を走る。片側は断崖絶壁、森の中をくぐり抜けるように曲がりくねった道が続く。夜間は通行止め。動物もわんさか出てくるらしい。後にわかるけど、この時はまだ、「そうは言っても道は道でしょ」なんて思っていた……。

取材の約束まで時間があったので、すこしドライブ。「一湊海水浴場」という看板が目に留まり、車を降りて探検してみることに。

子どもたちは思い思いに走り回って、きれいな貝殻を集めてきた。よく行く九十九里の海よりも「なんかカラフルな貝が多い!」そうだ。そうなんだ。ママは気付かなかったなあ。

 

「全部が何かになる。」

最初に取材させてもらうのは、鯖を加工して鯖節を作っている、馬場水産。海へと続く川のほとりにあって、とってものどかなところにあった。

鯖節の加工場、と聞いていたから、てっきり、めちゃくちゃ生臭いところなのかと構えていたら、おさかなのニオイなんて一切しなくてビックリ!

中に入ると、鯖節の加工の一連が書かれたとってもわかりやすいプリントをいただく。

「まず、鯖って言っても、使うのはゴマサバ。しかも、屋久島、種子島、それから鹿児島近海で取れるゴマサバを使ってます。ゴマサバにも2通りあって、脂がのっている時のと、脂が抜けた時のとじゃ、鯖節にしたときの仕上がりが違う。」

「はい、そして、最初にここで、こうやって鯖の頭をね……」

すごい!ギロチン!わたしも先日、カツオを丸ごと一匹いただいて(「やってごら〜ん」と、レミさんから押し付けられた)捌いてみたけど、頭を落とすのがいちばん大変だった。これなら、ザクッ!と一発でいけそう。

「頭を落としたら、今度は、包丁で筋を入れます。1ミリくらいの深さで、尻尾から背ビレに沿って線を入れてく。ひっくり返して、尻尾から腹の所にも。腹のところだけは割いて、腸もとりながら。他はあくまでも、筋を入れるだけ。これがポイント。3枚おろしまでしないってこと。後で理由はわかります。」

「そして、鯖を洗います。洗うための水は、最初から最後まで出しっぱなし。水を循環させて濁らないようにしてるんです。加工の最後に、“鯖煎じ”っていうのが出来るんだけど、腸や血が残ってるとそれが苦くなっちゃう。だからね、ここできれいに洗っとくんです。」

鯖煎じ?サバセンジ?初めて聞いた名前。一体なんなんだろう!?

「次は鯖を煮ます。水道水じゃなくて、山に降った雨が濾過された地下水を使うんです。やっぱり、地下水のほうが、いいものが出来る。あとで鯖にカビをつけるときに、カビのつき方が変わってきます。」

「で、この時の煮汁が、“鯖煎じ”になっていくんです。煮汁を12、3時間ほど煮詰めて、きれいに漉します。それから釜に移して、さらに6、7時間、灰汁を採りながら加熱。そうすると、きれいな水飴状のものが出来ます。それが、鯖煎じ。鉄の釜で煮るから、サビも入って、鯖が本来持ってる鉄分よりもっともっと鉄分が増えます。だいたいひじきの5倍ぐらいかな。」

なるほど!煮汁にしみ出た栄養を余すことなくいただくのが、鯖煎じ。ところで、サビって食べていいものなんですか?

「くぎ煮とかって、あるでしょう。あれと同じようなこと。しっかり沸騰させるから、100度になって、雑菌なんかは殺せてます。」

「鯖煎じはね、昔は、病院におろして、栄養つけるために患者さんに食べさせてたぐらい、栄養補助食品なんですよ。それに、昔はね、きめの細かい砂で濾してたんです。砂で濾すから不純物が取り去られていくんだけど、砂に魚の脂がつくでしょ。だから、砂は畑の肥料になる。全部が何かになる。」

鯖ひとつで、人だけじゃなくて、畑まで元気にしちゃうなんて。昔のひとは、モノがない代わりに、知恵があった。モノがあふれてる今とどっちが豊かか……うーん、考えさせられる。

鯖煎じ、是非買って帰って、お料理に使ってみたいけど、いったいどんな風に食べられているんですか?

「郷土料理にも使われますよ。鍋にお湯はるでしょ、そして真ん中に茶碗をおいて、茶碗の中に醤油と、鯖煎じを入れて。お湯で豆腐をあっためて、茶碗の醤油をつけて食べる、ってのが、ここらの料理なの。鯖煎じがいい出汁になって、美味しい漬けダレになる。味噌汁とか、煮物とかに入れても、いい隠し味になりますよ。ラーメン屋さんから注文もありますね。」

おっと。ラーメン作りが趣味のうちの夫に、教えてあげなければ。

 

「さて、鯖節のほうですけど。煮るのは、大きい鯖で1時間半ぐらい。煮ているとね、魚から合図してくるんです。煮えましたよーって。表面に大きな水ぶくれが出来るんです。その水ぶくれが合図。釜からあげて、3枚におろすんですが、最初に筋を入れたのがここできいてきます。しっぽのほうの筋に親指を入れたら、簡単に割けるんです。最初に3枚におろすよりここでやったほうが仕事が速いし、身が崩れないでしょう。」


「で、今度は、薫製。」

薫製室のドアを開けたとたん、ぽわ〜っとすっごく良い香り!これこそ、ネコに嗅ぎつかれたら大変!!

「だいたい10時間ぐらい薫製します。もっと多い時は、一昼夜。使う木は屋久島の広葉樹で、油の多い木は使わない。切ったばかりの木は燃えないから、ちょっと枯れ気味の木を使ってね。そして、木を燃やしてできた灰も、火鉢なんかで使うんですね。」

薫製する鯖は、部位ごと、また、油ののりごとに分類されていて、全てに使い道がある。中骨、はらわたまでも、粉砕して肥料として畑にまかれるそうだ。中骨、はらわた……なんだか酒のつまみにしたら美味しそうだけど……また酒か、って言われちゃうかな(笑)

「薫製して、もっと水分を抜いてから、今度はカビつけ。水分が残りすぎると、違うカビまでくっついちゃうし、かといってあんまり水分を抜きすぎると、ついてほしいカビもつかないんです。残った水分や油を、カビがすいとってちょうどいいぐらいがいい。」

わたしは、この、カビのシステムが、ほんとうに好きだ。鯖が鯖節になるためには、そこら辺をただよってる「鯖節になるためのカビのもと」が、鯖に勝手にくっついてくれなければいけない。カビのおかげ。カビ様。なのである。同じカビでも、悪い子と良い子がいて、でも名前が分けられてるわけじゃないってとこが、好き。カビはカビ。良い子か悪い子かは、人にとってどう働くかってだけで、好きに生きているのだ。これは、菌にも同じことが言える。

えっと、話がそれすぎるので、元に戻して眞邉さんの話を……

「カビ付けしている時は、まだカビくさいし、魚の生臭さがあります。でも、カビがついた後天日に干すと、まるで違う。180度変わる。なんとも良いにおいになるんです。天日干しを何回したかで、香りが変わっていく。」

屋久島は、365日のうち、365日雨が降る、なんて言う人もいるけれど、天日干しなんかして平気なんですか?

「それは言いすぎだけどね(笑)まあ山が多いから、どっかしらでは雨が降ってるかもな。ここら辺では、昔から、あの山に雲が引っかかると、雨が降るから気をつけなさい、と言ってきた。だから山を見て、干すかやめとくか決めてます。結構当たるんですよ。ちゃんとテレビの天気予報も見るけどね(笑)」

天日干しなんかしてたら、島中のネコが集まってくるんじゃ!?

「ネコじゃないの、カラスなんだよね。あそこ、川を挟んだ向かい側の建物にとまって、こっちを見てるんですよ。人がいるときはじーっととまってるのに、いなくなるとだんだん近付いてくる。一回、隠れて見てたことがあるんだけど、くちばしでくわえて持ってくでしょ、そしたらいったんどこかに隠して、少しずつ巣に運んでるんだよ。鯖節、固いでしょ。どうやって食べるのかなって思ったら、海に漬けてふやかしてましたね。それで、上から落として、細かくしてほぐして食べる。頭いいよね〜。」

どろぼうの被害者なのに、カラスに感心しちゃってる眞邉さん、素敵だなと思った。

加工場の中へ戻ると、カビがついた鯖節を、かごからかごへ移す作業をされているところだった。

「カビっていうのは、部屋と一緒で、周りからついてくる。均等につくように、位置を替えてやるんです。薄く、まんべんなくカビがついたら、天日干し。さらにまた次のカビをつけて、また干して、その繰り返し。最初にカビをつけるための部屋に入れてから、7ヶ月から1年ぐらいかけて、出荷します。」

パパといっしょに、近くの滝を見に行っていた子どもたちが帰ってきた。眞邉さんが、生節を切っておやつに食べさせてくれた。しっとりしていて、噛めば噛むほど、鯖のうま味。3歳の次女は、「ちょっと恥ずかしいからそんなにがっつかないで……」ってぐらい、パクパク口に放り込んで食べた。たしかに、美味しかった!

気になる鯖煎じは、小さな瓶に入っておみやげコーナーに売られていたので、迷わず購入。この小さな瓶に、いったいどれだけの鯖の栄養が凝縮されてるんだろう。そして、いったいどんな料理に活かそう!

 

西部林道は、ほんとに「特別な道」だった。

馬場水産を出ると、もう夕方。この日の予定は以上だったけど、宿までの途中に、レンタカーやさんで聞いた西部林道を通ることが判明。同行してくれている屋久島の案内人に、「なんだか特別な道って聞いたんですけど、どんな道ですか?」って聞いてみたら、

「差し掛かったらすぐわかります。ここからだなって。」

と言われた。

そして、本当に、ここからだな! だった。

あるポイントから、急にジャングル感。道が細く、くねくねになり、上からも横からも、枝がワイルドにのびている。東京のお花屋さんで高く売られていそうな、珍しい形の葉っぱがわんさか生えていて、葉っぱの間には、4畳ぐらいある巨大な岩がででーんと姿を現す。見上げると、ずっとずっと奥の方まで続きそうな、深い森。と、思ったら!

いたいたいた!鹿ちゃん発見!2匹もいる〜!すご〜い!かわいい〜!きゃ〜!またいる〜!え、また!?5匹!?ファミリー!?えっ、どんどん出てくる!なにこれ、鹿パラダイス!

……と、いったように、車内は大騒ぎ。きゃ〜!今度は猿〜!

「背中こちょこちょしてる」「おっこちないのかな」「なんで顔赤いの」「おじいさんの顔だ」と、こどもたちも夢中で観察。

マイペースに横断する猿たちを待って、車が渋滞する(笑)人に慣れているのか、わたしたちが窓から顔を出しても、「よう」みたいな顔で、こっちを見てくる。ちょっと走れば、すぐ、鹿か猿にであう。こどもたちは、もはやテンションが上がらなくなってくるし、写真係の夫も、最初のうちは出てくるたびにカメラを構えていたけど、だんだん、「もういっか」みたいになってくる(笑)

それにしても、西部林道。走ってるだけで、なんとも言えない癒され感だった。今回の屋久島旅では、山を登ったりはできないけど、車じゃなくて、身ひとつであの森の中に入ってみたいなあと、すごく思った。

 

さあ、屋久島ごはんは、どんなかな?

そして、1日目の宿、モスオーシャンハウスに到着。

母屋も、離れの宿泊部屋も、ちょこちょこおしゃれな小物が置かれていて、気分があがる。色が濃くて、生命力あふれる葉っぱたちに囲まれ、木々の間からは広大な海も見えた。「キャンプみたいじゃん!外で寝ていいの!?」と、ハイテンションな6歳長女。

いよいよ、屋久島での最初のごはん。ウワサによると、トビウオがマスト食材らしい。これだけ自然のチカラみなぎるところだから、きっと野菜もおいしいんだろうな。こどもたちは、場所が変われど、「おなかすいた〜!ママごはんは〜?」と聞いてくる。今日はママ、ごはん作りませーん!今日はなんだか、家族にやさしくできそう(笑)

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