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Re島めし 対馬編 第2話

2017.03.29 (WED) 対馬 Re島めし

対馬の蜂蜜のこと、養蜂マスターに聞いてみた。

「ここですね・・・」

島の案内人である対馬市観光商工課の方々が、とある民家の前で車を停めた。車の外を見ると、何やらうじゃうじゃ飛び回っている。“何やら”とか書いたけど、それは明らかに、ハチだった。うわー、ここで降りるのか。ちょっと怖いな。

次に取材させてもらうのは、養蜂家の扇さん。玄関の外には、ハチの巣箱が並んでいた。ハチの巣箱なんて、はじめて見たよ。もっと近くで見てみたい気持ちは、ブーンブーンという羽音にかき消され、中腰、そして早足でさささーっと通り抜け、おうちの中へ・・・。

「外でたくさん飛び回ってたでしょう。今は流蜜期といって、1年間のうちで野原に一番花が多い時。彼達はこの時期に、自分たちの家族を増やそう、子孫を残そうとするんです。
今の時期に餌をやるとね、活力がプッと出る。でも、餌がない他所のハチが、餌を盗みにくるんですね。だからハチ同士すったもんだ喧嘩をしている。そこで私は、餌を引いたところでね・・・」

お話を伺っていると、

「あら!テレビで見たことある!平野レミさんとこの、ね!こないだも見ましたよ!」

と、テンション高めな奥さまがご挨拶にきてくれた。するとすかさず、

「すいません、ときどき野次が入りますから・・・。あっち、行っとって。蜂蜜持って来て。」

扇さんの牽制がはいる。ふたりのやりとりは最高だった(笑)

(扇さんに「あっち行っといてくれ」と言われながらも、記念撮影タイムに(笑))


 

おいしい蜂蜜は、愛でつくられる。

扇さんは、養蜂の第一人者として、各メディアから取材を受けたり、講演や指導を頼まれたりで、とってもお忙しい。現在流通している蜂蜜の多くは西洋蜂によるものだけど、扇さんが育てているのは、日本古来の和蜂。とても貴重な和蜂だが、全国的に、そしてここ対馬でも、数はどんどん少なくなっている。その理由はいったい?

「和蜂の天敵になる外来種のスズメバチが繁殖したり、ここ数年は、ハチの間で流行するウイルス病にもやられたりしてね。いろいろ理由がありますが、いちばん何とかしないといけないのは・・・蜜源の問題ですかね。

わたしがね、昭和50年に、公民館で講演をしたんです。そしたら、蜂飼いがバーッと増えた。今、対馬には蜂を飼う人がいっぱいいます。だけど技量が揃ってない。それぞれの思惑で蜂飼いをする。すると、ハチは増えるのに、餌、つまり草花や樹木の蜜源は、どんどん減っていくばかりです。

いろんなミツバチ部会を作って、蜜源を増やしなさい、という話をするんですが、鹿や猪が蜜源を枯らしてしまったり、そもそもきちんと木を育てない人もいる。困った状況です。」

「みなさんがハチに対して、わたしと同じような扱いをしてくれるなら、大丈夫なんです。ハチを守っていける。だけど、ハチに対する愛情が薄い人もいる。世話を手抜きする人もいる。そしたら、同じ養蜂する者に迷惑をかけるんですよ。みんな同じレベルになっていかないと、うまくはいかない。」

「ハチに対する愛情」なんて言葉が出てきて、ドキッとした。ハチが愛情を注ぐ対象になるなんて!扇さんに愛されたハチが作る蜂蜜って、いったいどんな味がするんだろう・・・?


「ほら、対馬の蜂蜜!食べて〜!いやあ、私、平野レミさんの大ファンよ!楽しいお母さんよね〜!」

ナイスタイミングで奥さま再登場!蜂蜜とコーヒーを持って来てくれた。

この蜂蜜、まず香りが濃い!ブーケに顔を突っ込んだときのお花の香りを、10倍ぐらいにしたような強さ。そして、舐めてみると、なんっとも複雑な味がした。深いコクがある甘みに加えて、酸みや、渋みも感じる。

我が家の近所に、蜂蜜専門店がある。一度、30分ぐらいお店に居座って、あれこれ試し舐めさせてもらったことがあった。どの蜂蜜も、言ってしまえば「蜂蜜の味」なのだけど、よくよく味わってみると、みかん、レモン、コーヒー、ラベンダーなどなど、それぞれの香りに気付く瞬間がある。舌や鼻が脳とつながって、頭の中のごちゃごちゃが一瞬ズバッと切り分けられるよう。なかなか面白かった。

その時と違って、扇さんの蜂蜜は、何の味なのかさっぱりわからない。これが、愛情の味??

「対馬にいる和蜂は、いろんな花や木を餌にしています。蜂蜜業界で言う、百花蜜ですよ。対馬の百花蜜には、深いコクがある。特に、樹木の蜜ならではの酸味は、対馬の蜂蜜の特徴かなと思いますよ。
餌として砂糖を与えすぎると、蜂蜜にも砂糖味が混じってくる。美味しい蜂蜜を作るためには、やっぱり、蜜源になる植物を増やして、蜜本来の味を濃くしていくことなんです。」

「こんなに美味しい蜂蜜をいただけるんですから、やっぱり愛情を込めて接しないとね。感謝の気持ちをもって、ハチにはできない、ちょっとした手助けを人間がしてあげる。そんな思いでハチを育ててます。」

 

 

扇夫婦と記念撮影をするために、ふたたび家の外へ。ハチのぶんぶんぶんぶんという音は、やっぱり、怖かったけど、でも、なんていうか、ハチさん頑張って下さい!邪魔してスイマセン!みたいな気持ちになった。ハチへの愛情、芽生えちゃったかも。

「和田さんも、一週間くらい泊まり込みすれば、ミツバチ飼えるようになるよ。」

本気かどうかわからないけど、扇さんがニコッと笑いながらそんなことを言った(笑)ミツバチを飼いたい気持ちは正直全然ないけど、なんでかとっても嬉しかった。

扇家を出発し、車は次の場所へ。対馬は大きい島だから、移動にはそこそこ時間がかかる。でも、その移動時間をハッピーにしてくれる、最高のおやつがあるのだ。

じゃん。まん丸のたい焼き。

ああ、また食べたいなあ。ちなみにかなりの人気店で、小さい店内にお客さんが詰め寄せていた。何十個、という単位で買っていく人もチラホラ。気持ち、わかります。ひとつ食べてる最中に、次の一個を確保したくなるのよ。

もうそろそろ到着ってときに、「次の場所は、どろんこになるかもしれないので、これを着て、この靴を履いといてください。」と、着替えを渡された。

たしか、椎茸農家さんにお話を伺う予定だったと思ったんだけど・・・どろんこになるの?なんでだ?

椎茸をかわいいと言う、あなたがかわいい。

出迎えてくれたのは、キュートな笑顔の大石さん。きのこをゲットして強くなる、某ゲームキャラクターに似てなくもない。なんて書いたら怒られちゃうかな。

「ほら、かわいいでしょ?椎茸!」

いやいや、大石さんがかわいいです・・・

「じゃあ、とりあえず、椎茸見に行きましょうか。」

案内されたのは、森の中。雨が上がったばかりなのか、空気は相当湿っていて、足下の土はゆるゆる。なるほど、こりゃどろんこにもなりそうだ。

「この湿度があるから、この場所を選んだんです。こうして木を組んで、木にあけた穴に、椎茸の赤ちゃん・・・菌を固めたやつですけど、それを埋め込んで行く。全部夫婦2人の手作業ですよ。たまに、孫も手伝いにくるけど、ね。」

「こうして、こどもが出てきたら、袋のせしてやります。この作業もまた、一個ずつ手作業で。」

芽が発生するためには、水分が必要。でも、発生後は雨にあたると水気をおびてしまうので、袋でカバーを。袋をかけすぎると、今度は蒸れて食感はふにゃふにゃに。気温によっては袋を外す日もある。
毎日様子を見て回って、状態を見極め、手入れしてやるそうだ。ちなみに、写真には入りきらない程、ものすんっごい数の木があるんですよ。ひとつひとつ見て回るなんて、気の遠くなる作業に違いない。一斉にできないのかな?

「今の時期は強制発生させているから、数が思ったよりも出ないんです。でも、そんな中で出荷できる状態になったものに関しては、旬に出たものよりも食感や香りが全然違う。明らかに良くなります。天ぷらやさんとか、イタリアンのシェフなんかから、「この時期の椎茸をください」って指名がくるほどね。だから、丁寧に、ひとつずつ。」

対馬の椎茸は「難産」だから、味が濃い。

お店によっては、大石さんのところの椎茸が入ると、「入荷しました!」と案内を出して料理の提供をするお店もあるそうだ。シェフからの需要は年々増え、それに応じて対馬内の椎茸農家の数も増えているそう。
数ある産地の中から、対馬産が選ばれる理由って、なんだと思いますか?

「本土の椎茸と差別できるとすれば、原木の違いかな。普通の椎茸だと、クヌギやコナラを使うでしょう?対馬ではアベマキというブナ科の木を使うんです。椎茸の原木に、これはまず使いませんね。アベマキの椎茸発生量は、クヌギに比べると6割しかない。なのに、アベマキで作った椎茸と、それ以外の椎茸は、生産量は同じぐらいあるんです。なにもしなくても同じ量できるけど、手をかけた対馬の椎茸は、味が格段に違う。それが売りかな。」

「アベマキはね、樹皮が硬いから、菌を打つと、一生懸命変形しながら出てくるんですよ。難産なの。椎茸がうーんうーんって出てくるから、まるで難産。するとね、味が濃くなるんですよ。だし汁なんか、一番出汁は濃すぎて捨てちゃうぐらい。焼いても風味がすごいよ。とって帰って、食べてみて。」

 

1個1個見守られながら育った、手のかかる椎茸ちゃんたち。美味しいに違いないよ。めちゃくちゃ食べてみたくなってたところでした。お言葉に甘えて、おみやげ用に椎茸狩りをさせてもらった。

くんくんしても、まだ何のにおいもしない。そういえば、この場所にいる間、やたら深呼吸してしまった。そこら中で椎茸が産まれて育っていると思うと、どうも空気にも栄養がある気がして。

「対馬はそこまで観光化してないからかね、空気はきれいよ。原木も豊富だし、椎茸を育てるのにバッチリ合ってる。
さ、明日は雨みたいだから、今日はこれからまた袋のせやらないと。」

東京でこの椎茸を料理し、食べるときには、きっといままでにないありがたみを感じるんだろうな。こうやって、産地を肌で感じ、生産者のみなさんの毎日を知ることで、食材への敬意がどんどん増してく。好きな食べ物が増えてく。商品を選ぶときの価値観が変わる。こどもたちに教えたいことを、いま、わたしが学べているんだなあ。Re島は、椎茸だけじゃなくって、お母さんを育てるのにもバッチリ合ってると、わたしは思います。ね、大石さん。

Re島めし とは

島の食材に、いつもと違う視点をかけ算してみたら、何が生まれるだろう?
島の食材・食文化を再発見し、「こんなふうに食べてみたらどう!?」をつくるプロジェクト。それが「Re島めし」。
島を旅し、こんなのどう!?をつくってくれるのは、
料理界のにぎやかアイディア一家、平野レミさんと義娘の和田明日香さん。
島のユニークな食材に、人との出会いというスパイスをふんだんにふりかけて。
さあ、どんなあたらしい料理が生まれるのか。

五島列島で数々の感動とユニークレシピをを生みだした
島めし旅は、いよいよ、国境の島「対馬」へ!

20代にして3児の母。6年前、料理がまったくできないまま平野家に嫁ぐ。 そこからコツコツ修行を重ね、現在は食育インストラクターとして活動中。 旬の素材を生かした、こどもと一緒に楽しめる料理を得意とし、離乳食のレシピ本の制作にも従事。 著書に、「嫁姑ごはん物語」、「和田明日香のコストコごはん」など。
オフィシャルブログ「主婦はつらいよ、たのしいよ。」
公式インスタグラム @askawada
料理愛好家(もともとはシャンソン歌手)。“シェフ料理”ではなく“シュフ料理”をモットーに、 テレビ、雑誌で数々のアイデア料理を発信。人間ドックで「5年間来なくていいです」と言われた健康体を武器に、 講演会やエッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案。また、特産物を使った料理で全国の村おこしにも参加。 著書は30冊以上に及ぶ。
オフィシャルサイト REMY

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