年に一度のごちそう。島の恵みをたっぷり蓄えたオブジェの正体とは!
2021.10.31 (SUN)
福岡空港からわずか35分で渡島できる対馬。
日本で3番目に大きな島のほとんどが山という対馬では、海の恵みだけではなく、山の恵みもたくさんあります。対馬の山の中でよく見かける奇妙な木の置物。その中に入っているのは、甘くて美味しい、貴重な山の恵みでした。
(取材・文 対馬ライター 佐々木 達也)
ニホンミツバチだけが生息する対馬。島中の花から集めた絶品蜂蜜
現在日本における養蜂のほとんどは、セイヨウミツバチという海外から入ってきたミツバチを使っています。
本土から離れた対馬は、日本在来の二ホンミツバチだけが生息する日本唯一の場所で、昔ながらの方法で養蜂が行われています。
1500年以上の歴史を持つ対馬の養蜂
家の軒下や裏山の斜面などに立っている木製の奇妙な置物。
対馬のいたるところにあるこの正体は、「蜂胴(はちどう)」と呼ばれる丸太の中をくり抜いた蜂の巣箱です。
この中で二ホンミツバチに巣を作ってもらい、蜂蜜を取っています。
対馬での養蜂の歴史は古く、江戸時代にまとめられた記録では、西暦500年代にはすでに養蜂が行われていたという記述があり、江戸時代には朝鮮通信使への差し入れや、将軍や大名への送りものとして利用されていたとされています。
蜂胴はそのころから使われている道具で、島の風景の一部になっています。
二ホンミツバチが生み出す濃厚な蜂蜜
二ホンミツバチが集める蜜は、カシやヤマザクラといった木の花をはじめ、レンゲやソバなど色々な花の蜜を集める事から、「百花蜜(ひゃっかみつ)」と呼ばれています。
セイヨウミツバチに比べ小柄なことから、集める量は少ないですが、色々な花の蜜が集まったフルーティーで濃厚な味は、一度舐めたらクセになる美味しさです。
蜂たちからのおすそ分け、蜜取りは年に一度のおたのしみ
蜜取りは年に一度、夏から秋に変わる時期に行われます。頃合を見計らって蜂胴のふたを開けると、ミツバチたちがせっせと作ったハチの巣に、たっぷりの蜜が入っています。
養蜂をしている対馬の人たちは、それぞれ自家製の道具を使って蜂胴から巣を切り取り蜜を集めます。
この時、巣にある蜜の3分の1は残しておきます。これは、これから冬を越す蜂たちのもので、人はあくまで蜂たちの蜜を分けていただいているという立場です。そんな気持ちが通じてか、蜜を採る間、よっぽどのことがない限り蜂が襲ってくることはありません。
撮影している時、蜂たちがやってきて1匹が耳の中へ入ったりしましたが、びっくりするというより、戯れているという不思議な感覚が印象的でした。
スッキリとした甘さに、身体中に幸せが走る
蜜切りの時のおたのしみは、そう「お味見タイム!」。
蜜があふれるハチの巣を指でつまんで口の中へ。濃厚な甘さが口の中いっぱいに広がります、しかも後味はスッキリ。あまりのおいしさに、思わず唸ってしまうほどです。
たくさんの種類の花の蜜が複雑に織りなす深い味わい蜂蜜は、決してくどくなく、いくらでも食べられそうです。
蜂蜜を目と舌で味わう至福の時間
二ホンミツバチの蜂蜜は、島のお土産屋さんやスーパーの店頭に並ぶのですが、近年の生産量の減少も相まってとても貴重、高値で取引されていて、なかなか手が出ません。
そんな貴重な蜂蜜をぜひ味わいたい!という皆さん、厳原町のふれあい処では、対馬特産の藻塩が入ったソフトクリームとのコラボレーションを楽しむ事が出来ます。
注文すると、ソフトクリームと木のスプーンに入った蜂蜜が別々に届けられ、食べる直前に自分でトッピング。
目と舌で味わう対馬の自然をどうぞご堪能ください!
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