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硬度10!やわらかな超軟水が湧き出る屋久島の芋焼酎は、森に湧くマザーウォーターで割って飲むべし

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人気都市・福岡を訪れる人も、福岡に暮らす人も意外と知らないのが「福岡市は離島も近い」こと。福岡を楽しむみなさんにお届けしたい、福岡市内から直行できる離島の魅力を、島に暮らす地元ライターが紹介します。

(取材・文 屋久島ライター 菊池淑廣)

屋久島の地酒は、芋焼酎

鹿児島のお酒といえば芋焼酎。離島ながら薩摩の文化が息づく屋久島の地酒も、同じく芋焼酎です。家庭の食卓や「のんかた(=飲み会)」の席に芋焼酎が並ぶのは言うまでもありませんが、屋久島では神事のお神酒にも芋焼酎を用いるのが一般的です。

酒屋やスーパーなどでも、日本酒やウイスキーといった他の酒類に比べて、芋焼酎のラインアップは圧倒的に豊富。特に地元産の芋焼酎は人気が高く、売場の一等地を占めています。

屋久島が誇るふたつの焼酎蔵

屋久島には焼酎蔵がふたつあって、ひとつは、今や全国にその名を轟かす「三岳(みたけ)」を製造する三岳酒造。

そしてもうひとつは、豊富な銘柄の芋焼酎を製造するだけでなく、屋久島の果実を使用したリキュールやワインなども取り扱う、鹿児島市に本社を置く本坊酒造の屋久島伝承蔵。この2社がバランスよく競合しつつ、屋久島芋焼酎のブランド価値を高めていると言えます。

芋焼酎が出来るまで1年以上!? 屋久島伝承蔵に潜入!

本坊酒造の屋久島伝承蔵では、事前に申し込めば誰でも工場見学が可能ですが、僕も今回、工場長の沖園一陽(おきぞのいちよう)さんにお願いして、潜入取材をしてきました。

残念ながら焼酎を製造していない時期でしたので、過去に撮影させていただいた写真も使いながら、屋久島の芋焼酎が出来るまでの工程を紹介しましょう。ちなみに焼酎を製造していないときでも、見学は可能です。

沖園工場長を訪ね、早速蔵の中へ入らせていただくと、まず初めに案内されたのは「麹室」。麹菌を蒸した米に培養させる、麹づくりだけのためのいわば「神聖な部屋」です。

手作業による換気だけで温度・湿度管理を行い、杜氏が経験から培った感覚を研ぎ澄ませながら麹を育て上げます。まるで産まれたばかりの赤ん坊を育てるかのように、昼夜を問わず麹と向き合います。まさしく杜氏の腕に掛かっている、焼酎造りの肝となる工程です。

2日間かけて育て上げた米麹を、地中に埋め込んだ甕(かめ)に移し、仕込み水(マザーウォーター)として使用している屋久島の良質な水と酵母を入れて、櫂棒(かいぼう)で攪拌し、6日間発酵させます。

なんとも言えない甘い香りが蔵いっぱいに立ち込めるときですが、残念ながら製造期間中ではない今回の取材時には、その香りを楽しむことはできず、またの機会のお楽しみとなりました。

こうして出来た「酒母」に、ようやく芋が投入されます。本坊酒造で使用しているさつまいもは、屋久島産の「白豊(しろゆたか)」と南薩摩産の「黄金千貫(こがねせんがん)」という品種で、銘柄によって使い分けているそうです。

その後、8日間、発酵・熟成させたあと、蒸留の工程を経て、いよいよアルコール度数が約37度の原酒が抽出されます。

すぐに味わってみたい衝動に駆られますが、ここから半年から1年以上かけて熟成させます。この熟成期間を経て、まろやかさや香りなど、味わいの完成度が高まるそうです。

そして出荷時は多くの場合、アルコール度数を25度に調整しますが、ここで使われる割水も、もちろん屋久島の水。最後に瓶詰めしてラベルが貼られ、ようやく売場の一等地に並べられるのです。

圧倒的アドバンテージを誇る、屋久島の水

あえて僕が言うまでもないことですが、屋久島の芋焼酎は、酒造メーカーによらず、どれもまろやかで口当たりのよい非常に美味しいお酒ばかりです。

もちろん工程ごとに、そのメーカー独自の手法や工夫等がそれぞれあるかと思いますが、共通していることは、仕込み水や割水といった「マザーウォーター」に屋久島の水を使用しているということです。

屋久島の水は、カルシウムやマグネシウムをほとんど含まない「硬度10」という超軟水。屋久島は、それらのミネラル含有量がそもそも少ない花崗岩で成り立っているうえに、土壌が浅いため、降り注いだ雨は花崗岩質の土壌にサッと浸透し、ろ過されて、スッと湧き出てきます。

つまり屋久島の水は、余計なものを含んでいないため雑味がなく、口当たりの軽いおいしい水だということです。

屋久島の芋焼酎がおいしい背景には、各蔵の技や努力とともに上質な水があることが、圧倒的なアドバンテージを得ていると言っても過言ではありません。

屋久島芋焼酎の、最もおいしい飲み方

屋久島の森をトレッキングしていると、そっちこっちで水が湧き出ているのを目にします。縄文杉ルートにも白谷雲水峡エリアにも、湧き水ポイントはいくつもあります。

僕もガイドで山へ行った際は、森に湧く極上の天然水をボトルに汲んで持ち帰り、その水で屋久島の芋焼酎を割って晩酌するのですが、それ以上に屋久島の芋焼酎のおいしい飲み方を、僕は知りません。

「屋久島の芋焼酎は、屋久島の森に湧くマザーウォーターで割って飲め!」

声を大にして、そう訴えたい。

現地でしか味わえない、最高に贅沢な飲み方です。ぜひ、お試しあれ。

 

※本坊酒造・屋久島伝承蔵の見学については、下記ホームページをご参照ください。

見学のほか、試飲、購入もできますが、運転手は我慢してくださいね。

https://www.hombo.co.jp/