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トビウオって食べられるの?漁獲高日本一を誇る屋久島流トビウオの美味しい食し方

人気都市・福岡を訪れる人も、福岡に暮らす人も意外と知らないのが「福岡市は離島も近い」こと。福岡を楽しむみなさんにお届けしたい、福岡市内から直行できる離島の魅力を、島に暮らす地元ライターが紹介します。

(取材・文 屋久島ライター 菊池淑廣)

屋久島流トビウオの美味しい食し方

トビウオは、まさしく空を飛ぶ魚なので「飛び魚」。

といっても正確には、大型魚などの敵から逃れるため、水面から勢いよく空中に飛び出し、発達した胸ビレで海面からの上昇気流を捉えてグライダーのように滑空するのですが、飛行距離は数百メートルにおよぶこともあります。

魚としての常識を打ち砕くようなその特異な生態ゆえ、老若男女問わず誰もが知っている魚のひとつだと思います。

屋久島では古くから馴染みのある魚で、「トッピョ」とか「トッピー」などの方言で親しまれ、鹿児島と種子島・屋久島を結ぶ高速船の愛称にもなっています。

地元では日常的に食しているいわゆる大衆魚のひとつで、島内の魚屋さんやスーパーには、普通にトビウオが店頭に並んでいます。僕の東京時代の友人などにそんな話をすると、「えっ? トビウオって食べるの?」などと聞かれることがあります。

確かに僕自身、東京にいた頃にトビウオを食べた記憶はないので、食材としては、東日本ではあまり馴染みがないかもしれません。

屋久島はトビウオ漁獲量日本一!

そもそもトビウオは、暖かい海域に生息している魚で、西日本や九州、伊豆七島などでも漁獲がありますが、実は屋久島の安房(あんぼう)漁港が漁獲量日本一。

屋久島では年間を通じて「ハマトビウオ(カクトビ=屋久島における俗称)」や「ツクシトビウオ(時期トビ=同俗称)」など10種以上のトビウオが漁獲されています。

一口にトビウオと言っても、実は種類の多い魚で、世界に50種ほど生息しています。

屋久島のトビウオ漁法は与論島生まれ?

屋久島におけるトビウオ漁の歴史は、江戸時代まで遡ります。

近年においては、5月から6月にかけて浅瀬に産卵にやってくるツクシトビウオを漁獲する「時期トビ漁」が昭和50年代中頃まで盛んに行われましたが、次第に浅瀬までやってくるトビウオが少なくなり衰退。

これに代わって「ロープ曳き浮敷網(うきしきあみ)漁」が行われるようになり、今のトビウオ漁の主流となっています。

これは、親船(本船)と片船の二隻でロープ付きの網を曳き、トビウオを囲い込んで漁獲するという漁法で、かつて屋久島近海まで漁にやって来ていた与論島の漁師が考案したもの。

ちなみに彼らの多くが安房地区の春牧(はるまき)集落を中心に移り住んだことから、「よろん坂」と呼ばれる坂があります。

大盛況!屋久島で開かれる年に一度の「とび魚祭り」

そんな漁師町ともいえる春牧集落では、毎年11月に「春牧とび魚祭り」が催されます。

目玉はなんと、先着500名もの人にトビウオの炭火焼を無料提供するという気前のよさ。

ほかにも様々なトビウオ料理が味わえたり、舞台演芸があったりと、毎年賑わいを見せるお祭りです。第5回を迎える今回は、11月のとある日曜日、いくつもの色鮮やかな大漁旗がなびく青空の下、盛大に開催されました。

必見。トビウオ漁師によるトビウオ実演販売

数多くの出店が軒を連ねる中、最も賑わっていたのは、トビウオ漁師実演による「トビウオの上手なさばき方と刺身のおいしい食べ方」コーナー。

マル秘テクニックを伝授してくれるということで、みなさん興味津々に漁師さんのレクチャーに耳を傾けていましたが、どうやら包丁の入れ方ひとつで違いが出るそうです。

また、刺身のおいしい食べ方として、一般的にはわさび醤油でいただくことが多いですが、だいだい酢(柑橘系果実の果汁)をブレンドした醤油やゆず胡椒を溶いた醤油でいただくのもおすすめとのこと。個人的にはだいだい酢醤油がさっぱりして好きですね。ちなみにこのだいだい酢、焼酎に絞ってもおいしいですよ。

そして、さばきたての刺身をそれぞれの醤油で試食できるのですが、僕が撮影しているうちにすぐになくなってしまうほどの人気ぶり。

隣の鮮魚直売コーナーでは、トビウオの鮮魚が「原価度外視の特別価格!」ということもあり、早々に完売していました。トビウオ漁師の実演は、さすがに説得力がありますね。

これぞ屋久島流。トビウオの美味しい食し方

屋久島では、日常的にトビウオを食べますが、もちろん刺身だけではありません。

定番の塩焼きや唐揚げ、すり身を揚げた「つきあげ(つけあげ)」、あるいは料理の出汁(あごだし)としてうどんなどにも使われます。飲食店などでは、すり身をベースにしたハンバーグ、洋風のカルパッチョやマリネなど、食べ方のバリエーションは豊富です。

また、観光客には「羽根(正確には胸ビレ)」を広げた状態の姿揚げが、ビジュアル的にインパクトがあって人気です。

地元ライター流。ジャンクフード風の食し方

僕の友人にもトビウオ漁師が何人かいて、その日に揚がったばかりの新鮮なトビウオをいただくことがあります。

そんな日の食卓に並ぶ我が家のトビウオ料理は、だいたい刺身と天ぷら。

意外なことに天ぷらは、飲食店ではあまり見かけないため、一般的な食べ方ではなさそうですが、個人的にはコレがイチオシ。「ジャンクフード」的であまりおすすめとは言えませんが、「醤油マヨネーズ」でいただくのが我が家流。しかも醤油は、鹿児島(九州地方)の甘口醤油であることが絶対条件です。

トビウオの筋肉質ともいえるプリッとした食感、そしてたんぱくな味わいと濃厚な甘口醤油マヨネーズとの相性、それらのバランスが絶妙で、これがまたビールによく合うんです。

「ぜひ一度、お試しあれ」と言いたいところですが、ほどほどに。