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福岡直行離島で見る奇祭。真冬にふんどし姿の男達が独身女性を捕まえ胴上げ?!五島の伝統行事「へトマト」とは

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人気都市・福岡を訪れる人も、福岡に暮らす人も意外と知らないのが「福岡市は離島も近い」こと。福岡を楽しむみなさんにお届けしたい、福岡市内から直行できる離島の魅力を、島に暮らす地元ライターが紹介します。

(取材・文 五島市ライター 橋本賢太)

冬の五島で見たい伝統行事「へトマト」とは?

福岡の伝統行事では「博多祇園山笠」などが有名ですが、私が暮らす五島には少し変わった伝統行事があります。

その名も「ヘトマト」。

語源は不明ですが、五島市の下崎山地区に古くから伝わる民族行事で、国指定重要無形民俗文化財に指定され「日本を代表する奇祭」と言われることもあります。

へトマトは正月や成人式が終わりひと段落する1月第3日曜日に毎年開催され、5種類の奉納や祈願が行われます。

(1)白浜神社での「奉納相撲」 

(2)新婚女性が酒樽に乗り行う「羽根つき」

(3)縄で巻き取柄のついた藁玉を奪い合う「玉せせり」

(4)青年団と消防団に分かれての「綱引き」

(5)見物の独身女性をふんどし姿の男達が捕まえ胴上げをする「大草履」

一体どんな行事なのか? 詳しく紹介していきたいと思います。

へトマトその1「奉納相撲」

一つ目は下崎山地区にある白浜神社で行われる「奉納相撲」です。
奉納相撲にはへトマトのお膝元である崎山中学校の生徒たちが積極的に参加。実は私も崎山中学校出身ですので、中学時代は毎年参加しておりました。
中学生に引き続き、青年団、消防団による相撲が行われます。
真剣な取組もあれば、おふざけの取組もあり、見物客を飽きさせず楽しませてくれる勝負が次々に繰り広げられる「奉納相撲」。毎年、大人たちの取組は笑顔であふれます。

へトマトその2「羽根つき」

奉納相撲の次は「羽根つき」。

子孫繁栄を祈願して晴れ着に身を包んだ新婚女性2人が酒樽に乗り「羽根つき」を行います。

不安定な酒樽に立って行うだけに、見るからに難しそうな「羽根つき」。周りから声援が飛び交うなか、女性たちは声援に応えるべく、できるだけ長く続けようと何度も挑戦し、ラリーが10回以上続くこともあります。

へトマトその3「玉せせり」

お次は「玉せせり」。

ここで身体に「ヘグラ」と呼ばれるススを塗り付けた若者たちが登場します。

へグラを塗った男性たちは、無病息災を願って、周りの見物客にヘグラを塗ってまわります。

その姿に、子どもたちは怖くて泣いてしまうことも......。

私も子どもを連れて見物したところ、追いかけてくる大人たちを怖がり走って逃げ回り、「ヘグラが付くのは良いことだから、大丈夫だよ」と言っても、そんなことは知ったこっちゃないという様子で泣き続けていました。(見物客はへグラを塗られることがありますので、へグラが付いてもよい服装で見物されることをおすすめします)

そしてヘグラを塗った男性たちが縄で巻き取柄のついた藁玉(わらだま)を激しく奪い合う「玉せせり」が始まります。

紅白に分かれ両者が激しくぶつかり合う「玉せせり」では、藁玉をかけた熱戦が繰り広げられます。

時々、見物者のところまで飛んでくることもありますので、見物される方は目を離さず、そして楽しみながら見られてください。

へトマトその4「綱引き」

「玉せせり」が終わると、地元青年団と消防団が豊作と大漁を占う「綱引き」が始まります。

青年団VS消防団の力勝負は例年、力が拮抗して良い勝負になっています。

へトマトその5「大草履」

最後はへトマトのクライマックス「大草履」。


初めて見る人はきっと驚愕するだろう藁でできた巨大な草履が登場し、若者が次々と見物人の独身女性を見つけては大草履の上に乗せ、胴上げを行います。

男たちに担がれ大草履で胴上げされるの女性はきっと恥ずかしいと思いますが、実はこの胴上げには「年内に結婚できる」という言い伝えが。近く結婚を希望される独身女性の方はぜひ、胴上げにチャレンジしてみてください。
大草履が終わると山城神社に奉納が行われ、へトマトは終了します。

へトマトように、別々の祈願や奉納を一度に行う民族行事は、全国的にも珍しいとのこと。

起源や語源が一切不明ということも、この行事が奇祭といわれる所以になっていますが、私自身、中学生の頃は毎年参加しながらも、当時は何をやっているのかよく分かっていませんでした(ただ、真冬の雪が降るような寒さのなか、ふんどし一丁で歩き回り冷え切った身体に、祭りで振る舞われる温かいぜんざいの味は格別で今でも覚えています)。

近年では、島外からの参加者も受け入れていますので「参加してみたい!」と思った男性は、参加してみてはいかがでしょうか? 女性もぜひ、大草履の胴上げにチャレンジしてみてください。