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「日本そば」のルーツは対馬にあり?!ナッツのように香り高い、幻の離島蕎麦「対州そば」を味わう

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人気都市・福岡を訪れる人も、福岡に暮らす人も意外と知らないのが「福岡市は離島も近い」こと。福岡を楽しむみなさんにお届けしたい、福岡市内から直行できる離島の魅力を、島に暮らす地元ライターが紹介します。

(取材・文 対馬ライター 佐々木達也)

蕎麦好きなら一度は味わいたい「対州そば」とは

日本人の食文化に欠かすことのできない食材はいくつもありますが、蕎麦もその一つ。「年越しそば」や「引っ越しそば」など行事として食べる蕎麦や「わんこそば」のように食べる文化として受け継がれている蕎麦までさまざまです。

蕎麦は、現在の中国南部で自生していた種が、縄文時代に日本へ入ってきたといわれています。どのような経路で伝わったかといえば諸説ありますが、その一つが大陸と最も近い日本の島・対馬を経由したという説です。

 対馬には「対州そば」(対州は対馬の別名)という在来の蕎麦があり、古くから育てられてきました。山地が多く、わずかな平地しかない対馬では、穀物を育てるのは簡単ではありませんでした。

そこで、「山地」「養分が少ない」といった厳しい条件の土地でも育つ蕎麦が、貴重な食料源として育てられてきたのです。

昭和40年ごろまでは山の斜面の木々を切り、土地を焼いて耕作する「木庭(こば)」と呼ばれる焼畑も行われ、そこで蕎麦が作られていました(現在は行われていません)。

対州そばは原種の蕎麦に近く、小粒で収穫できる量が少ない品種ですが、風味がとても強く、ナッツのような香りがします。この香りが、現在私たちがよく食べている蕎麦との大きな違いです。

対州そばは対馬の食生活にかかせないもので、年越しそばはもちろん、冠婚葬祭、地域のお祭り、冬至など行事ごとに食べられており、今でも(対馬の中でも)農業が盛んな地域に行くと、家々にそば打ちの道具があり、現役で使われています。

そんな対州そばは、対馬でしか育てることができません。蕎麦は、受粉するときに他の品種と混ざりやすいため、さまざまな種類の蕎麦が育てられている土地では、純粋な対州そばを作り出すことが難しいからです。

対馬では、一定の大きさよりも小さい蕎麦の実を「対州そば」として認めています。

そして、その実を種にして育てることにより対州そばを守ってきました。こうした取り組みによって、今年4月には「対州そば」が長崎県で初めて国の地理的表示(GI)保護制度の登録を受けることもできました。

つまり、対馬の在来種である「対州そば」はとても貴重な蕎麦。それだけに蕎麦好きの間では”知る人ぞ知る有名な逸品”であり、「対州そば」を食べるために、わざわざ対馬まで足を運ぶ人もいるほどです。

そんな蕎麦ファンのために、島内各地には「対州そば」が味わえるそば屋さんやレストランが多数。「そば道場 佐須奈店・美津島店」や「体験であい塾 匠(たくみ)」など代表的なお店のほか、対馬観光物産協会のホームページにて、市内の飲食店を探すことができます。  

今回は、対馬空港から最も近い「そば道場 美津島店」にお邪魔しました。

このお店で打たれる蕎麦は基本的に「手打ち」で「蕎麦粉100%」!

つなぎを入れなくてもコシが強いので、「対州そば」の特徴であるナッツのような強い香りを楽しむことができます。

対馬ならではのそばの食べ方で、私がおすすめなのが「いりやきそば」。

「いりやき」とは地鶏またはブリやメジナなどの魚と、たっぷりの野菜を入れた鍋のこと。冬に限らず、人が集まるときには振る舞われる対馬の郷土料理です。この「いりやき」の最後に、地元では素麺か蕎麦が登場し、お鍋の汁を麺かけていただきます。

海の幸や山の幸の旨味が麺に絡んでたまらない「いりやき」の〆を手軽に食べられるのが「いりやきそば」なのです。

対馬には蕎麦を使ったアイスや、若葉を使った青汁などの変わり種もあり、どちらも「対州そば」の魅力を引き出しています。

蕎麦の伝わったいにしえの時代から食べられ、守られてきた「対州そば」。11月末には新蕎麦も登場し、さらに風味豊かな蕎麦を食べることができます。

対馬以外ではほとんど口にすることができない幻の蕎麦を、食べにいらっしゃいませんか?