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Re島めし 五島列島編 第1話

2017.01.11 (WED) 新上五島町 Re島めし

Re島めし とは

島の食材に、いつもと違う視点をかけ算してみたら、何が生まれるだろう?
島の食材・食文化を再発見し、「こんなふうに食べてみたらどう!?」をつくるプロジェクト。それが「Re島めし」。

島を旅し、こんなのどう!?をつくってくれるのは、
料理界のにぎやかアイディア一家、平野レミさんと義娘の和田明日香さん。
島のユニークな食材に、人との出会いというスパイスをふんだんにふりかけて。
さあ、どんなあたらしい料理が生まれるのか。

ゆかいな島めし旅の、はじまりはじまり!

20代にして3児の母。6年前、料理がまったくできないまま平野家に嫁ぐ。 そこからコツコツ修行を重ね、現在は食育インストラクターとして活動中。 旬の素材を生かした、こどもと一緒に楽しめる料理を得意とし、離乳食のレシピ本の制作にも従事。 著書に、「嫁姑ごはん物語」、「和田明日香のコストコごはん」など。
オフィシャルブログ「主婦はつらいよ、たのしいよ。」
公式インスタグラム @askawada
料理愛好家(もともとはシャンソン歌手)。“シェフ料理”ではなく“シュフ料理”をモットーに、 テレビ、雑誌で数々のアイデア料理を発信。人間ドックで「5年間来なくていいです」と言われた健康体を武器に、 講演会やエッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案。また、特産物を使った料理で全国の村おこしにも参加。 著書は30冊以上に及ぶ。
オフィシャルサイト REMY

Re島めし 五島列島編 第1話

「おいしい話がやってきた。よく知らない島々から。」

こんにちは。和田明日香です。
東京生まれ、東京育ちの、もうすぐ30歳。
7年前に結婚し、今は3人の子どもたちのおかあさんです。
お姑さんの、料理愛好家・平野レミさんに、料理や人生のあれこれを教わりながら、毎日バタバタと、でも楽しくやってます。

その日は、4時半起きで朝の情報番組に出演。いったん帰って、 家族が食べた朝ごはんの片付けをしながら、午後の撮影に向けて料理の仕込み。 途中、心配性なクライアントからの電話に対応していたら、煮詰めていたソースを焦がした。

こういうバタバタな日に限って、合間の1時間に、むりやり打合せを入れていたりする。 この日もそうだった。九州から、新しい仕事の話をしにわざわざ東京まで来るそうだ。 「メールでも良かろうに……」なんて思いつつ時計を見たら、そろそろ約束の時間。待ち合わせのカフェまで自転車を飛ばした。

カフェでの打合せでお願いされたのは、夢のようなお仕事だった。

「島へ行って、おいしいものに出会い、それを使って料理してください。」

わたしは、なんにも考えず、

「なにそれ超うれしいですやります。」

と即答した。

「島」「おいしいもの」というワードが、あまりにグッときすぎた。 家事に育児に仕事に追われ、自由なひとり時間はほぼなし、大好きなビールもなかなか飲めず、 最近なんのために頑張ってるのかよくわからなくなっていたのだ。 今のわたしに必要なものは、全部その「島」とやらにあるような気さえした。 3人の子どもを世話する旦那さんの苦労も頭をよぎった。 でも、「島」に行けさえすれば、100倍返しで家族にやさしくできそう。 「島」への期待は完全に高まりきっていた。

「で、その「島」って、どこの島?」

どうやら、九州の先にある離島のことらしい。いくつか島の名前を挙げられたけど、 知っているのは屋久島ぐらいで、あとは聞いたこともない。つまり、どんな食材があって、 どんな料理ができるのか、ということは、正直想像がつかなかった。 まあ、困ったらおかあさん(姑の平野レミ)に聞いちゃえばいいし、きっと、自然のパワーみなぎる、 とれたてのあれやこれやが、わたしを待っているはず!…その時までは、すっかり浮かれモードだった。

午後の仕事も終え、子どもたちのお迎えへ。ごはんを作りながら、ふと、「東京って、なんでもあるよなぁ。 離島のほうが、食材調達は不便するんじゃ……。」なんてことを思った。 それに、ひとりで行って島のスーパーをのぞくだけじゃ、食材の良さはわからないだろう。 地元の人に話を聞くにしても、東京から来た浮かれポンチのわたしに、心を開いてくれるかな……。 ぽつりぽつりと心配ごとが出てきた。

なにより、ごはんを食べる子どもたちの顔を見ていたら、 わたしがいなくなっても大丈夫かな、なんて、ちょっと寂しくなったり。 結構、大きな決断をしてしまったことを、そのときになって気付いた。

「まずは、福岡へ」

とは言え、出発までの数週間は、そんな寂しさはすっかり忘れるほど、バタバタと過ごした。 離島について予習する時間もなく、荷造りも出発ギリギリ。羽田空港に着いて、 これから乗る飛行機をボーッと眺めていると、やっと、離島へ行く実感が沸いてきた。 夜7時、福岡空港に到着。九州初上陸。せっかくの初上陸だけど、数時間後にはもう、離島へ。 それでも、「せっかくなので楽しんでもらいたい」と、九州チームが、天神にある水炊き屋さんに連れて行ってくれた。 水炊きはもちろんなんだけど、お刺身の美味しいこと!胡麻だれがひかれたお皿の上に、お刺身だけでなく、 胡麻、大葉、ネギ、海苔がたっぷり乗っかっていた。そんなお刺身の出され方は初めてだったけど、食べて納得。 魚の脂のノリがすごく良いので、濃厚な胡麻だれとたっぷりの薬味を合わせるぐらいが、バランスが良かった。

「いきなり海の上で寝ることに」

美味しいごはんですでに大満足。でも、離島への旅はこれからが始まり。 夜の博多を走り抜けて、博多港へ。最初に訪れる五島列島の上五島へは、「太古」という名前のフェリーで行くらしい。 夜の11時に乗って、着くのは朝の5時半。つまり、海の上で眠るのだ。めちゃくちゃ興奮するじゃないの。

夜の海で星を眺めて飲むんだ!と、ビールを買い込んで、いざ乗船。

ドキドキで乗り込んだわりに、部屋で横になると、すぐ寝てしまった。 わたしがどっしりしてるのか、太古がどっしりしてるのか、どっちのおかげかはわからないけど、 揺れは全然気にならなかった。

3時頃目が覚めて、冒険を取り戻そうと、慌ててデッキに出た。 どこまでも暗い海の上に、まん丸の月が浮かび、水面に光の筋が出来ていた。 一見ロマンチック、だったんだけど、海の広さと暗さに飲み込まれてしまいそうで、ちょっと怖かった。海をナメちゃだめですよね。

部屋に戻って、またウトウトしていると、あっという間に目的地の青方港に到着。 いよいよ、最初の目的地、上五島に上陸!

……なんだけど、見渡す限り真っ暗で、島らしい景色は一切見えず。 寒かったので、そそくさとレンタカーに乗り込んだ。ホテルへ向かう道、突如、イルミネーションが現れた。 ぼんやり照らされている建物は、教会のようだった。

空には、東京よりずっと強い光りの星が、ぎゅうぎゅうに並んでいた。 しばらく窓に鼻を押し付けて空を見ていたら、運転席の中村さんが 「離島は星だけで観光になる、って誰かが言ってたなぁ」と言った。

真っ暗の道を抜けて、ホテル「マルゲリータ」に到着。 ロビーに一歩入った途端、洗練されたなんともオシャレな空間が広がっていて、 ホテルの方の説明もろくに聞かず、キャーキャー言いながら写真を撮りまくってしまった。

朝ごはんまで時間があったので、部屋でゆっくりお風呂に入ることにした。 バスタブにお湯を沸かそうと、浴室に入ると、信じられない景色が広がっていた。

これ、お風呂場の窓から見えた景色。じっとしてたら、涙が出てきそうだった。 息をのむ程うつくしいのに、なぜかとっても悲しい気持ちになった。刻一刻と色が変わっていくので、 もうこの景色は二度と見れないと、切なくなるからかな。よくわからないけど、とにかく胸が苦しくなった。

シャンプーで目を閉じている数秒の間に、すっかり色が変わってしまう。 この写真ぐらいの明るさのときは、ピンクとオレンジの光に照らされて、自分の肌がびっくりするぐらいきれいに見えた。 空とおなじように、肌もきれいに染まるもんだ。その時間だけの魔法にかかったみたいだった。

「いやー、朝日のおかげで、すっかりポエマーになっちゃいましたよ。」朝ごはんを食べながら、 同行してくれている九州チームの人たちに話した。「それはきっと、島の力だね~。島が本来の和田さんを引き出してるんだよ。 本当はすごくロマンチックな人なんじゃないの。」なんて言われた。

たしかに、忙しくてしばらく忘れてたけど、わたしは、じっくり考えたり感じたりすることを大切にして生きていたはず。 自分のことを思い出せた朝だった。

あんなに美しい朝日を見せてくれて、島に歓迎されたような気がする。ここにいる間は、出会う人や出合うもの、 もちろん食材に対しても、じっくりと向き合おう。上五島での最初のごはんは、じっくり噛み締めるのにちょうど良い、 島産食材の和食朝ごはんだった。

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